チームとリーダーがしっかりしていれば、手がけている仕事に対して、おのずからエネルギーを生み出せる。やらなければならない仕事にもかならず楽しいところがある。それを見つけよう。仕事は遊びなのだ。
チームに向かってメリー・ポピンズを聴けと本気で提案しているわけではないが、自分で楽しみを見出すという考えはいまでも適用できる。
子どもと一緒に仕事をする人は、すでにこの原理を理解している。
幼稚園を思い浮かべてみよう。チーム--すなわちクラスは九ヶ月ものあいだ、かなり努力を要するテーマ(新しいアルファベットを習うなど)に熱心に取り組む。幼稚園で何かを習うなんて、半年だってものすごく退屈そうだ。しかし、先生(チームリーダー)は時間を分割して、それぞれを「物語」にする。月ごとに それぞれ何かしら特別な意味を持たせるのだ。秋の色の月、開拓者精神の月、恐竜の月といったぐあいに。代わり映えのしない36週ではなく、かならず何か意味を持っている週や月を過ごすのだ。幼稚園はプロジェクトの連続であり、いたるところに遊びや挑戦、そして多くの楽しみがまき散らされている。

— トム・ケリー&ジョナサン・リットマン『発想する会社!―世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーション』(早川書房、2002年)

発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法

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