はじまりの朝
いつの間にか眠っていた。視線をすこし右のほうへ傾けたのだが、その先に時計はなくて今が何時なのかわからなかった。私は体を起こすことはせず、そのまま寝起きの余韻に包まることにした。いつもならば目を覚ますとすぐに起き上がり、まるでスイッチが入った途端にシンバルを叩きだす人形のように忙しなく動き出すのだけど、今日はこのままでいたい。カーテンの隙間から少しこぼれてくる太陽の光があたたかくて気持ちいい。なんて穏やかな一日のはじまりだろう。いや、今日から長く長く続いていく道のはじまりだ。まだ見慣れない白のカーテンを見ながらそう思う。
昨日届いたばかりのテーブルの上には、あの人の好きなコーヒー牛乳が置いてあった。