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もう仕事は探していないんだけどさ。

W杯出場が決まった今だから振り返る ~ザッケローニと日本代表~

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ワールドカップ出場も決まった今だから、振り返りたい。

スタジアムにブブゼラの音が鳴り響いた2010年6月、南アフリカ。
岡田監督が率いた僕らの国の代表チームは、前評判を覆しグループリーグを突破した。決勝トーナメント1回戦でパラグアイにPK戦で敗れたものの、日本代表の健闘に心躍った人も多いはずだ。


2010年W杯南アフリカ大会 日本代表ハイライト - YouTube
この映像を見てSuperflyの曲を聞けば、3年前の記憶が蘇ってくる。いろいろ思い出してちょっと涙出そうになってきた。いかんいかん、今回の本題は岡田監督が率いた南アフリカワールドカップではなく、ザッケローニ体制になってからの日本代表である。(長くなります)

"持ってる男"ザッケローニの日本代表

 岡田監督から日本代表を引き継いだのが、皆さまご存知のアルベルト・ザッケローニ日本サッカー協会技術委員長の原さんが代行監督を務めた試合を除けば、ザッケローニ体制での初陣となった2010年10月のアルゼンチン戦から、先日のワールドカップ出場を決めたオーストラリア戦まで35試合が行われている。
  ※国際AマッチJリーグ選抜との復興支援チャリティーマッチを除く34試合。

重要な目標であったワールドカップ出場を決めたザッケローニ監督の日本代表であるが、サポーターからは不満の声が聞こえることも少なくない。
ザッケローニJリーグを軽視している」、「メンバー固定しすぎじゃないの」、「試合中の選手交代どうなの」、「3-4-3どうなってんの」などなど。
今回はザッケローニのここまでの歩みを振り返って、選手登用あたりのことを考えたいと思う。

本当にザッケローニJリーグを軽視しているのか?

まず、この質問への僕の回答はNO。選手登用に関しては決して100点ではないが、Jリーグ軽視と叩かれるほどではないというのが僕の考え。しかし、テストマッチの使い方だったり、Jリーグで勢いのある選手を招集するタイミングなど、選手登用に関してもっと上手くやれただろうとは言っておきたい。しかし、これはザッケローニというより協会側にもっと要求したいところでもある。
念頭に置いておかなければならないのは、あくまでザッケローニの仕事はワールドカップの出場を決めること。そして、ワールドカップ本番で結果を出すことであるという点だ。
つまりザッケローニは短期的な視点で結果を残すことを求められている。ザッケローニが来年のワールドカップの舞台で活躍できると思う若手選手を招集することがあっても、その先の日本代表で活躍するであろう若手選手を招集することはないということ。来年のワールドカップ以降も続いていく日本代表の将来を見据えて長期的な視点で仕事をするのは協会側である。(短期的な視点、長期的な視点、という言葉の使い方が正しいかについて自信がないけれど僕の本旨は伝わると思うのでこのまま使う)
以上のことを念頭に置いて、もう一度言う。選手登用に関してはもっと上手くやれたはずだ。ということで詳しく突っ込んでいこう。

枠は決まっている

ザッケローニ体制になって、国際Aマッチの試合に日本代表として選手登録されたのは65人。そして、「なんで〇〇を呼ばない? なんで〇〇を使わない?」という不満を持っている人は多いと思う。自国リーグを持つ国のサッカーファンであれば当然だ。
とはいえ、基本的に代表メンバーというのは23人と枠が決まっている。ワールドカップのような公式戦で登録できるのは23人までなのだ。もちろんテストマッチなどでは何人招集しても構わないと思うが、いくら選手を呼んでもピッチに同時に立てるのは11人までと決まっている。枠は決まっているのだ。
Jリーグや海外でプレーする大勢のサッカー選手から23人の選手をチョイスするのが代表監督の仕事であれば、そのチョイスに対して「なんで〇〇を呼ばないんだ!」という不満が上がるのは至極当然のことである。
ザッケローニ監督体制になってから常に名前が挙がっているのは佐藤寿人、最近でいえば豊田陽平柿谷曜一朗。その他にもJリーグでしっかりと結果を残している選手たちが日本代表に呼ばれていない現状があるのは事実だ。とはいえ日本代表に枠があり、活躍している選手すべてを呼べないことも事実だ。それでも、ザッケローニには佐藤寿人を、豊田陽平テストマッチで試すタイミングがこれまでにあったこともしっかり書いておきたい。

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上の画像は、一番左が岡田監督が率いた南アフリカワールドカップのカメルーン戦のメンバー。つまり3年前の日本代表。その隣がザッケローニの初陣となったアルゼンチン戦。その隣が2年前の2011年1月、アジアカップの初戦のヨルダン戦。一番右が2年前の9月、ワールドカップ3次予選の北朝鮮戦のメンバーである。
ザッケローニが2012年6月に始まったワールドカップ最終予選でメンバーを固定して戦っていたのは実際そうなのだが、そこまでに積み重ねた時間があることを忘れてはいけない。
例えば、アジアカップの初戦には松井大輔がスタメン出場している。現在このポジションのレギュラーは岡崎慎司、2番手は清武弘嗣。ちなみにこの二人に定着するまでは藤本淳吾にも出場機会があった。
現在ワントップを任されるFWのレギュラーは前田遼一。2番手はハーフナー・マイク。以前からJリーグで結果を残し続けていた前田は、Jリーグで得点王になった2010年、ザッケローニが監督になってから代表に定着した。ハーフナーも2011年Jリーグで日本人トップの得点をあげて初めて代表に招集された選手だ。ちなみに、アジアカップ決勝でゴールを決めた李忠成も、そのアジアカップで初めて日本代表に招集された選手である。
本田圭佑が絶対的なレギュラーとして君臨するトップ下にも、ザッケローニ浦和レッズ柏木陽介を試していた。実際に本田圭佑が出場しなかったワールドカップ3次予選の北朝鮮戦にはスタメンで出場している。
ダブルボランチの遠藤保仁長谷部誠は岡田監督の時代からレギュラーとして試合に出場しているが、現在その控えとして定着している細貝萌高橋秀人ザッケローニの下で代表初出場を果たした。
ディフェンスラインであれば現在レギュラーの吉田麻也とその控えの栗原勇蔵ザッケローニ体制になってから日本代表に定着した選手だし、伊野波雅彦アジアカップで代表初出場を果たした選手だ。サイドバック酒井宏樹酒井高徳ザッケローニ体制で代表初出場を果たした選手たち。
現在日本代表に定着していないものの、ザッケローニが手元で試そうとした選手は他にもいる。金崎夢生原口元気家長昭博本田拓也増田誓志関口訓充西大伍長谷川アーリアジャスール、柴崎岳。国内組で構成された2012年のアイスランド戦には大久保嘉人石川直宏にも出場機会があったし、柏がリーグ優勝をしたシーズンは、柏から酒井宏樹田中順也近藤直也を招集していた。
2012年4月には国内組だけで日本代表候補トレーニングキャンプもやっている。現在の代表常連メンバーに加えて、岩政大樹徳永悠平森脇良太橋本和山田大記大迫勇也も参加している。このトレーニングキャンプで初めて招集されて代表に定着したのがFC東京高橋秀人
こういった流れを見ていれば、ザッケローニJリーグを軽視してるとは感じないのではないだろうか。Jリーグで勢いのある多くの選手を呼んで、実際に間近で見てみてどのくらいやれるかというものもザッケローニはわかっていると思う。その上で、現在のレギュラー陣のほうが良いと判断しているのでしょう。
とはいえ、佐藤寿人を代表に呼んだものの出場機会を与えなかったヨーロッパ遠征の時のように、もっと上手に選手を試せるだろと思うこともしばしば。
それでも、アジアカップ開催前の2011年1月にGoal.comに掲載されたザッケローニのインタビューどおり、ここまではある程度順調に来ていると言っていいはずだ。

目標は、2014年ワールドカップに出場し、ブラジルでうまくやるだけの重要なチームをつくること。我々はすでにそのために動いている。例えば、すでにアジアカップが始まるし、私は多くの若手選手たちを招集した。チームの平均年齢は25歳にも達していない。これは、良い基盤があること、そして我々がどのように考えているかを示している。

コンフェデレーションズカップ、そしてこれからの1年

今週末からコンフェデレーションズカップが始まる。ワールドカップのプレ大会として、本大会と同じブラジルの地で強豪国と試合ができる経験は価値あるものになるはず。特に、普段のテストマッチが国内メイン、それに加えて強豪国と試合をする機会が少ない日本代表にとっては尚更のこと。
しかしながら、この大会の重要度はそれほど高くはない。もちろんファンとしてはとても楽しみな大会なのだが、この大会で良い結果を残したところで、本大会で良い結果を残せる保証はどこにもない。あくまで本大会に向けて経験を積む大会である。

ワールドカップ出場を決めた今、そしてこれからの1年で気になるのはもちろん誰がワールドカップの登録メンバーに選ばれるのかだと思う。
ちなみに、翌年にワールドカップを控えた今回と同じ状況でコンフェデに参加したのは2001年と2005年。2001年はコンフェデ登録メンバー23人中、15人(65.2%)が翌年のワールドカップメンバーに選ばれている。2005年は23人中、18人78.3%)が翌年のワールドカップメンバーに選ばれた。
おそらく今回も、コンフェデメンバーの8割近くの選手が来年のワールドカップに選ばれると僕は予想している。そしてザッケローニの選手選考を見ていると、ゴールキーパー3人、そして1つのポジションに2人という形で23人を構成するのが基本だ。

GK 川島・西川・権田
CB 今野・麻也・栗原・伊野波
RB 内田・酒井宏樹
LB 長友・酒井高徳
CM 遠藤・長谷部・細貝・高橋
AM 本田・中村憲剛
RW 岡崎・清武
LW 香川・乾
CF 前田・ハーフナー

なんだかこのメンバーを見ていると、来年のワールドカップもこの23人で臨んでいるような気もしてくる…。いや、レギュラー陣の座を脅かす選手たちの存在があったうえで、結果としてこの23人になりましたという流れであれば良いのだが、そうではなくてこのまま変わらず不動のメンバー感を保ったままワールドカップに臨むのだとしたら、それは危険だと思う。

もしもあなたに「〇〇をワールドカップで見たい!」という選手がいれば、その選手と同じポジションの枠にいる選手が座っている椅子を奪う必要があるわけです。例えば、「佐藤寿人豊田陽平が見たい!」となれば現在その椅子に座っている前田、ハーフナー、寿人、豊田で2枠を争うことになります。(もちろんその他の選手にも可能性があるわけだが)
しかし、その枠が増える可能性も存在する。というのは、例えばセンターバックサイドバックを両方できる選手がいれば、その2枠を1人で兼任できるから。そして余った一枠を攻撃的なポジションに使うことも可能である。
そんなことを考えながら、来年のワールドカップメンバーを想像してみるのも楽しいと思う。
山口螢阿部勇樹青山敏弘米本拓司、ワールドカップで見たいボランチが多すぎて……でも枠は限られてるからみんな見ることは出来ないんだなぁ…(^o^;)

追記

今回はザッケローニの選手登用について書いてみたが、インターネット上でザッケローニJリーグ軽視をしているだとか今のチームにザックの色が出てないとかいう話を見るたびに、そんなこともないんだけどなぁと思っていたことを書きたかったのです。僕もすべてに満足しているわけではないですが、大きな不満はありません。もちろん柿谷くんのような選手が、代表合宿で本田や長友のような選手たちからどんな刺激を受けるのか、そこからどんな成長するのかなんてところには物凄く興味があるので、柿谷くんの招集は楽しみです。
そして、南アフリカワールドカップのハイライトを見て思ったのは、オランダ代表のスナイデルファン・ペルシー。あの頃、手の届かない選手たちだと思っていたこの選手たちが、この3年で長友のチームメイト、香川くんのチームメイトになっていました。もちろん、スナイデルファン・ペルシーのようなクオリティを持った日本人が出てきたというわけではないのですが、同じ舞台で戦う選手が出てきています。長友がインテルにいること、香川くんがユナイテッドにいることの凄さを改めて感じました。

普段サッカーのことを呟いているTwitterアカウント→ @football_watter

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